Something

Takeshi Hirano

夏から秋へ

6月中旬の頃、今年の夏もイチジクの大葉が畑にやって来る生物達に避暑地を提供してくれていました。イチジクの木は今年で3年目になります。昨年より一段と多くの実を付けています。収穫が楽しみです。
おやおや、カミキリ虫がイチジクの木の新しく伸びて来たまだやわらかい枝の皮をすっかり剥いでいます。

参ったなあ!しょうがないかな?御主人様はいささか困惑気味ですが、これも自然の摂理なのかあと納得した様です。それにしてもイチジクの木は身を削ってまでもカミキリ虫に貢献しているのでしょうかね。さぞかし痛かろうに。それにしても植物って凄いね!

7月の終わり頃にちょっとしたエピソードがあります。主が竹林の竹を切っていた時、切り株に突然カブトムシが飛んで来ました。ところが様子がおかしいんです。主の気配を感じているはずなのにちっとも動かないんです。弱っているようです。主は自宅に連れ帰り、早速に定番の胡瓜を与えました。一応、カブトムシの好物が他にないのかと調べたらバナナが栄養的に良いようで最初に与えた胡瓜の方を残し、バナナの方を完食し、翌朝にはすっかり元気になっていました。

このまま自宅で飼育して子供たちに見せてやろうとも思いましたが竹林に戻すことにして、畑に通うミニバイクでミカンの入っていた小さなネットに入れて連れて行きました。
現地に着いた途端に手元に持っていたネットの口から勢い良く飛び出してしまい、そのまま一気に竹林に向けて飛んで行きました。カブトムシの旅立ちを見たのは初めてだし、あんなに高く飛ぶなんて想像してませんでしたから、本当びっくりしました。

月日のたつのは実に早く、9月初旬のことです。気温は18℃で秋晴れのすがすがしい一日の事です。畑周辺に突然真紅の彼岸花があちこちに顔を出しています。このphotoは9月20日の彼岸入りの頃のものです。満開です。

畑には日々、驚きに満ちています。今度はイチジクの木のそばににある腐葉土をつくっている桶の蓋の上に前脚の鎌状になっている部分が両側共に脱落しているカマキリがひっこら現われました。カマキリとまじまじと対峙するのは初めてです。
何か訴えている様です。
「どうされましたか?」良く見ると傷の方は既に癒えてます。「もう大丈夫だよ」と言ってやりました。

さて、お彼岸も終わる頃、彼岸花も姿を消して出番を待っている花達にバトンタッチです。
この写真は杓橘(からたち)の実です。主の畑は古風な石畳の坂道のある左側にあります。からたちの木は入り口のすぐそばにあります。上の公園へ行く方から時々声をかけられます。なつかしいからたちの実ですよねって言われる方もいれば、これ柚子(ゆず)ですかと間違って言われる方もいます。丸い丸い黄色実がたくさんなっています。

北原白秋と山田耕作の「からたちの花」の歌詞が思い出されます。
一緒に味わってみましょうか。

北原白秋作詞 山田耕作作曲
「からたちの花」

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

からたちのとげはいたいよ
靑い靑い針のとげだよ

からたちは畑の垣根よ
いつもいつもとおる道だよ

からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ

からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかったよ

からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ

芙蓉の花です。8月に最盛期で秋には開花が終わり果実ができ、その様子から枯れ芙蓉と呼ばれ味わい深いものになります。

9月初旬からイチジクを5~6個毎日採ってきて、直接食べたり、スムージーにしたり、ジャムを作ったりで重宝しています。3年目のイチジクの木、今年は大豊作でした。

ここであらためて台風19号およびこのたびの千葉県の豪雨の被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興をお祈りいたします。

畑の主は早朝から畑に行きます。
夏場にはセミの比較的大きな声の合唱のお出迎えがありました。10月中旬頃にはバッタ達の弦楽器の演奏に変わっていました。
(バッタの羽根をこすり合わせた時に出る音を表現したつもり)

10月20日の事ですが、とっても素敵な夕焼け空に出会いました。我を忘れる位じっと、ぼーっとながめていました。
私の中に幼少の頃、昭和30年代への郷愁感が蘇ってきます。
近所の子供達と遊び疲れて家路に向かう時、ふと見上げる夕焼け空とすいすい飛びかう赤とんぼの出現です。未だ赤とんぼの姿を見ません。オーバーな表現ですが我が地球一体どうなっているの?です。

※赤とんぼのphotoのかわりになつかしき三木露風作詞、山田耕作作曲の「赤とんぼ」の歌詞を添付しておきます。これも一緒に味わってみませんか?

夕焼、小焼の、あかとんぼ
負われて見たのは、いつの日か

山の畑の、桑の実を、
小かごに、つんだは、まぼろしか

十五で、姐やは、嫁にゆき、
お里のたよりも、たえはてた

夕やけ、小やけの、赤とんぼ
とまっているよ、竿の先

やっと10月終わり頃から、秋らしい秋晴れのすがすがしい好天に恵まれています。一時の安堵を覚えます。